おそらく理系の大学生ならチューリングと言う言葉を聞いたことのある人が多いでしょう。いわゆるチューリングマシンという言葉は多くの場所で聞く言葉だし、自分も何度も耳にした記憶があります。そのチューリングと言う言葉ですが、当然人の名前だと言うことは知っていたし、コンピューターの理論的な側面を支えた人としておぼろげながら記憶している程度なのですが、このほどこちらの記事で初めてどんな人物なのか知った次第です。
英国政府、アラン・チューリングに没後59年目の恩赦。計算機科学の父チューリングの計算機に対する功績はひとまず置いておくとして、と言うより自分にはそれを語ることはとても出来ないのですが、それよりはチューリングがホモセクシャルで、しかもそれを理由にイギリスの裁判でホルモン療法による化学的去勢措置を受けていたと言うのが驚きでした。もちろん驚いたのはそんな刑罰を執行した裁判システムについてですが、たかが一人くらいホモだからといってどうだと言うのでしょうか。ましてや世界的な天才をそのために失うことの愚かさを、当時の人で誰か憂う人はいなかったのでしょうか。
裁判システムと言うのは時代と共に変わるものだし、社会の常識も同様です。昨今ではホモセクシャル同士の結婚が法律で認められるような時代になっているのだから、もしチューリングが現代に生きていれば寿命をまっとうできたでしょうし、その間人類史に残るようなさまざまな発見をおこなっかたかも知れません。
そうした偉大な人間をくだらない裁判沙汰で事実上消してしまったと言うのは実に馬鹿げたことだし、怒りすらわいてきますね。当時の裁判長には、お前の価値はチューリングの爪の垢ほどもないと言ってやりたい気分です。
それはともかく世を先んじた天才のなかにはくだらない死に方をする人が少なくありません。たとえば古代ギリシャのアルキメデスなどもローマの名もない兵士によって殺されたと伝えられていますが、もしアルキメデスが寿命をまっとうできていたら人類の数学史はまったく違った道をたどったと言われています。もしかしたらアルキメデス自身が積分を考案した可能性まであるのだから、そうなっていたら人類の歴史は二千年は先に進んでいたでしょう。
もちろん当時の人間、それも一介の兵士にアルキメデスの真の偉大さが分かるはずもありませんが、それでもアルキメデスを殺した兵士にはこういってやりたいところです。お前が死ねばよかった、と。
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