昨今の国政選挙は参議院も衆議院も一票の格差がひどい状態が続いています。もっとも考えると昨今に限らずそうした状態がずっと続いているのですが、それについての裁判所の判断がいつになっても選挙の無効に踏み込まないのはどういうわけなんでしょうか。
7月参院選「違憲、選挙は有効」…東京高裁もちろん無効となれば世の中に対する影響が大きすぎると言うのは理解できますが、ことは民主主義の根幹にかかわることだし、政治家の正統性が疑われるような重大事案だということを裁判官は理解しているのでしょうか。少なくとも違憲だというのならば選挙無効は当然の判断だし、有効だと言うのならば違憲ではないという判断を下すのが当然と言うものでしょう。
違憲でありながら選挙を有効とする判断は司法がその責任を放棄した姿にしか見えませんが、こういった状況があまりに長く続いている上に選挙の投票率も低い状態が続いているせいで、最近では自分は政府の正統性にまで疑問を感じるようになってきています。政府が税金を集めて使えるのは、それが国民の代表だからであり、代表たる資格は公平な選挙によってのみ与えられるものだと思うのですが、司法はそうは考えないと言うことでしょうか。
この件に関して政治家を責めても埒が明かないでしょう。彼らが自ら選挙制度を改革する気など微塵もないのは今までの行動でよく分かっていることです。だからこそ司法は彼らに対して国の代表たる資格がないとはっきり突きつけるべきなのですが、それをしないことが国や法律に対しての信頼を限りなく低下させているのではないでしょうか。
もちろん世界情勢などをかんがみて緊急的に違憲だけど有効と言うことがありうるのは確かです。しかしそうした措置はあくまで一時的であるべきだし、ましてや数十年にわたって永続的にそうした状況が続くというのでは、一体憲法とはなんなのかと言う話にもなるし、政府が自ら憲法を踏みにじるなら、たとえば個人がそうした行動を取った時にそれを警察が取り締まる根拠がなくなるはずです。こういった状況は犯罪者の行動をやりやすくする側面を作るのではないでしょうか。
いかなる人間であっても法には従うべきだと言う強い意志を司法が示せないのならば、法律など歯牙にもかけない人間ばかりが社会の上に立ち、それがますます法律を無意味なものにしていくかもしれません。
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