国民年金に対する信頼が地に落ちたのは何も最近の出来事ではない。
自分自身もまったく信用していないし、
いずれ近いうちに破綻するのは確実だと思っている。
こんなことは巷では10年以上前から言われ続けていることだ。
ところでその破綻を少しでも先延ばしにするために
国がとった策がこちらの
国民年金滞納者、所得400万円以上で差し押さえと言う手法である。
差し押さえと言う時点ですでに年金ではなくて
単なる税金ではないかと言う疑問はあるが、
それはともかく私は果たしてこれでどの程度不払いが押さえられるか
かなり疑問を感じている。
そもそも年金滞納者の多くが若者であり
その多くが非正規で働いていることを考えれば
おそらく年収400万もある人間の数は相当少ないのではないか。
少なくとも自分の経験から言えば
非正規労働で年収400万と言うのは
何か特別な仕事をしている場合しか考えられない。
これはつまり今回の措置が滞納者を減らす効果が
ほとんど期待できないことを意味しているのではないか。
もちろん高収入でありながらわざと滞納しているような人間には効果があるが、
果たしてそのような人間がどれくらい居るのか疑問に感じるところだ。
さらにそういった層の不満を解消できるわけではないだろう。
そもそも年金未納の根本は年金の信用がないことに由来すると思う。
その状況で無理に支払えと言われたら
たとえお金を持っている人間でも不満を感じるのは当然だし、
年金などあてにしないから
自分のことは放っておいてくれと思ったとしても当然であろう。
もし本気で国が年金を立て直すつもりなら
受給世代と現役世代の格差をはっきり見直して
現在の年金の支給額を半額以下にすることが絶対に不可欠であろう。
その上で各世代の公平を図るようにすれば
ある程度の信頼は回復すると思うが、
果たしてそれで年金と言えるのか、
そもそもその年金だけで生きていけるのか、不安は尽きないわけである。
さらに生活保護とのバランスをとる必要もあるだろうし、
正直年金システムはもはや完全に詰んでいると考えるのが自然ではないか。
いずれにしろ国として年金を続けるつもりなら
きちんとした将来像を提示することが最低限必要ではないだろうか。